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高血圧症
健康な人の血圧は、収縮期血圧が140mmHg未満、拡張期血圧が90mmHg未満です。このどちらか、またはどちらとも上回っている状態が、高血圧です。
血圧が高い状態が続くと、血管に負担がかかり、血管の壁が固くなる動脈硬化を促進してしまいます。血管は血液を全身に送り届ける役割をしており、動脈硬化があると血管はうまく血液を運ぶことができません。そのため、動脈硬化は多くの臓器に影響があり、脳梗塞・脳出血・心筋梗塞・腎不全など引き起こす恐れがあります。そのような怖い合併症を防ぐために、高血圧症の治療をする必要があります。減塩や運動・禁煙などの生活習慣の改善・薬物療法が治療の主体です。
日本の高血圧患者数は4300万人といわれていますが、そのうち正しく治療されているのは約1200万人とされています。
ご自身の血圧はどのくらいか、ご存じですか?まずは毎日の血圧測定を始めてみましょう。
脂質異常症(高脂血症)
血液中の脂肪分は、LDL-コレステロール・HDL-コレステロールや中性脂肪と大きく3つに分類されます。健康な人は、LDL-コレステロールが140mg/dL未満、HDL-コレステロールが40mg/dL以上、中性脂肪が150mg/dL未満です。この3つの値のいずれかが正常範囲でない状態を脂質異常症とよびます。脂質異常症があると、肝臓に脂肪がついて脂肪肝となったり、皮膚に脂肪が沈着し黄色腫として現れることもあります。血管の内側の壁にコレステロールがつくことによって、傷つきやすくなります。壁の損傷と治癒を繰り返すと血管の壁が厚くなり、動脈硬化が促進されます。動脈硬化があると血管はうまく血液を運ぶことができません。そのため、動脈硬化は多くの臓器に影響があり、脳梗塞・脳出血・心筋梗塞・腎不全など引き起こす恐れがあります。
脂質異常症は主には生活習慣や肥満が原因ですが、家族性のもの、ステロイドや経口避妊薬などの薬物・甲状腺機能異常やネフローゼ症候群など他の病気によって引き起こされることもあります。
脂質異常症の診断は血液検査です。脂質異常がないか、脂質異常を誘発する疾患はないか、血液をとって調べます。
治療としては薬物療法が行われますが、食生活を中心とした生活習慣の改善や運動習慣が、脂質異常症の予防と治療には一番重要です。
魚や大豆製品を摂取するように心がけましょう。
高尿酸血症
高尿酸血症とは、血液中の尿酸値が通常よりも高い状態です。
血液中の尿酸値が高いと、体内尿酸が結晶化して関節や腎臓などに溜まります。
尿酸の結晶が関節にたまると、痛風発作を引き起こすことがあります。
痛風発作は数日でおさまりますが、高尿酸血症がそのままだと再度痛風発作を起こしたり、腎臓中の尿酸結晶によって腎機能障害をおこしたり、尿路結石になったりします。
30-40代男性の3割が高尿酸血症と言われており、高尿酸血症がある方は肥満を合併していることが多く、動脈硬化が促進しやすい状態といえます。
高尿酸血症は、血液検査で診断します。
治療はやはり生活習慣の改善と薬物療法です。
尿酸の元となるプリン体を含む食品(レバーなど)やアルコールの摂取を控えることが
重要です。また、減量で肥満を改善することで、尿酸値の低下が期待できます。
尿酸値を低下させることで痛風発作だけでなく、腎機能障害や尿路結石も予防できます。
糖尿病
糖尿病は、血液中の糖(血糖)が増えてしまう病気です。健康な人の血糖値は食事の前の空腹時で80~110mg/dLぐらいです。食事をとり、胃腸で食べ物を消化吸収し、糖が血液の中に入ってくると、血糖値は高くなります。しかしそれでも、上限は140mg/dLぐらいです。血糖値がこれよりも高い状態が高血糖です。インスリンという膵臓から出るホルモンが、血糖を一定の範囲におさめる働きをしていますが、糖尿病は、このインスリンの分泌が低下したり、インスリンへの反応が悪くなるために起こります。日本の糖尿病患者数は増加しており、予備群を合わせると 2,000 万人と推定されています。血糖がとても高いと意識障害を起こしてしまうこともあります。
慢性的に血糖が高いと血管が障害されます。腎臓や眼の網膜・神経にいく血流が悪くなり、腎不全や失明・足の壊死など怖い合併症を起こす恐れがあります。慢性腎臓病で透析導入になる患者さんのほとんどが糖尿病患者です。さらには心臓の血管にも障害が及ぶと、狭心症・心筋梗塞にもつながることもあります。
糖尿病は名前の通り、尿中に糖が出てきます。尿に糖が出ているかは尿検査で確認ができます。また、血液検査でその時の血糖値や、最近1-2か月の血糖値を反映するHbA1cの値を調べることができます。食事や運動・薬剤治療で高血糖をおさえたり、インスリンの働きをよくすることが大事です。
糖尿病の発症・合併症の予防のためにしっかり血糖をコントロールをしましょう。
不整脈
不整脈と一言に言っても、多くの種類があり、特に治療の必要がないものから、治療適応となるもの、命を脅かす危険な不整脈まで多岐に亘ります。
人間の安静時の脈拍数はおよそ60~100拍/分程度です。もちろん自律神経の働きにより運動や緊張、興奮時には脈拍数は上昇し、よりリラックスした状態や睡眠中では脈拍数が低めとなることはありますが、これらは生理的な現象であり病的意義はありません。しかしながら、例えば安静時でも脈拍数130回/分、日中活動時でも脈拍数40回/分などの生理的な範囲を越えていると考えられる場合や、動悸感やめまい ふらつき等の何らかの症状を伴う脈拍数の上昇低下は病的な不整脈の可能性が高くなります。
薬剤でコントロール可能なものは薬物治療を行いますが、
脈拍が低下し症状のある不整脈の場合、ペースメーカー治療の適応となることがあります。一方、脈拍の上昇する不整脈ではカテーテルアブレーションという治療により根治が望めるものもあります。
不整脈が疑われる場合は心電図検査を行いますが、発作的に起こる不整脈はその場では捉えられないことも多いため、長時間の心電図記録を行うホルター心電図検査を行うことで初めて発見できる可能性があります。
狭心症・心筋梗塞
心臓には心臓自体に酸素を送る冠動脈という血管があります。
冠動脈が細くなり血流が悪くなった状態を狭心症、血管が閉塞して血流が途絶えてしまった状態を心筋梗塞と言います。
狭心症では、胸の中央からみぞおちにかけての胸痛が現れます。のどの奥や左肩や左腕、奥歯など広い範囲に痛みを感じることもあります。より多くの酸素が必要な運動時に起きることが多く、症状は長くても数分程度であることがほとんどです。
おもに動脈硬化が原因で発症しますが、冠動脈のけいれんにより起こる冠攣縮型狭心症というものあります。冠攣縮狭心症は、安静時や就寝時に症状が現れることがあります。
より重症な心筋梗塞の状態になると胸痛は長時間続きます。血流がなくなることで心筋の細胞が損傷されてしまい、緊急治療が必要になることもあります。
狭心症や心筋梗塞では心臓の血流が悪くなることで、心臓の電気信号に異常が現れるため、心電図検査を行います。また、血液検査で血管が詰まる原因となるような脂質異常症や糖尿病の有無、心筋細胞が損傷されたときに出てくるマーカーなどを調べたりします。心臓血管のCTを撮影したり、血管からカテーテルを入れる検査が必要な場合もあり、検査は多岐にわたります。
治療は薬物療法もありますが、重症化すると狭くなった血管を広げるためのカテーテル治療、詰まってしまった血管の前後をつないで心筋に血流を与えるバイパス手術が必要になります。
運動時に胸の圧迫など違和感を感じたら、早めに医療機関にご相談ください。
心不全
心不全とは、何らかの原因により心臓のポンプ機能がうまく働かなくなった状態です。ポンプ機能がうまく働かなくなると全身の血液循環がうっ血傾向となります。主に左心室の障害では肺のうっ血、右心室の障害では体のうっ血が目立つようになります。症状としては息切れや両側下肢の浮腫(むくみ)から見つかることが多く、放置した場合や急激な発症の場合には気管支喘息と似た呼吸困難や胸水貯留にまで至り、入院治療が必要となることもあります。
心不全の原因としては虚血性心疾患、心臓弁膜症、心筋症、不整脈、高血圧など多岐に渡ります。心不全の治療としては、原因に対する治療の他、心臓に対して保護的に働く薬剤や、むくみが多い場合は利尿剤によって治療を行います。
慢性的な心不全の状態であっても治療によりコントロールされていれば日常生活を送ることが可能です。慢性心不全の患者さんでは過剰な水分摂取やストレス、風邪などをきっかけに悪化することがあるため、普段から規則正しい生活習慣を心がけること、水分量や塩分に気をつけて適正体重を維持することが重要です。
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